今朝のニュースで、お隣の入間市で消防団員が集団で退団し、車庫が1つクローズになるというのがニュースになった。
私も16年ほど消防団活動を行ってきて、活動の晩年に同じような思いをしてきただけに、組織側の気持ちも、退団していった側の気持ちもよく理解できます。
残念なのがいつでも報道は曲がっているのと、制度を決める連中が現場を何もわかっていないこと、報道を見たコメンテーターが知りもしないで適当な視聴者受けのよさそうなコメントをするところ。
今回の報道では「服装規定」を再三注意され、団員が嫌になって辞めたとあるが、やめた理由はほかにも沢山あるはず。今回はここだけフォーカスされてしまっている。
消防団は地域で働く人たちが半公務員という状態で活動している。地域に住み、働く人が、その地域で起こった火災は消防団員よりも早く現着するため、初期消火などの重要な役割を果たしていた。地元に住む人として地域を守るというのは基本的に持っている正義心。一秒でも早く到着して火の手が回らないように初期消火だけで鎮火できれば最高という事で、時には仕事も顧みず現場に向かう。
普段仕事をしているわけだから、当然仕事の服装。そのため、私たちの団では、車両に耐火服、いわゆる「銀がっぱ」を積んでおいて、現場に来た車両から取り出してきている。
あたりまえだけど、いちいち家に帰って着替えている暇はない!
ところが近年では、本署が来るまで水を出すなとか、消防団員は後方支援や交通整備のみなど、日ごろ訓練している事を生かす場はなくなっていっている。それだけ常備消防が整ってきたという事でもあり、火災の件数も減ってきているのはとても良いこと。それでも年に数回は消防団員が先頭に立ってやってもよいだろうという事が発生するも、「なるべく火事場に行くな」というムードは相変わらずある。
こうなると、日ごろは、操法大会など、消防車両の操作と消化までの「型」を競う競技の訓練や、広報活動など、本来団員がやるべきでない作業など、実際の消火活動とは関係ないことをやらされることが多い。
これは、当初の目的と全く違う。
消防団は半公務員だけに年俸が出るが、これは1人あたり数万円。私の団でも年6万円を前後くらいだった思うが、これらは、自分たちに入れるのではなく、団の活動のために自分たちでこの費用を集めて、活動費にあてている。
ほかにも、自治会などがあれば「後援会」などがあり、日ごろの消防活動への支援という形で、後援会からの助成金もあるが、このあたりを「飲食などに使われている」などの突き上げが各地から上がり、埼玉県では多くの地域でこの助成が撤廃され、活動はとても苦しい状態になってきている。団によって費用の使い方はいろいろでしょうが、いずれも団を維持していくためにそれぞれの団が判断をして利用している。いきなり撤廃ではなく、このあたり、自分たちが集めたお金でやっている部分と後援会費でやっている部分を明示するという事から始めてほしかったとも思う。
話を服装に戻せば、今回のようなケースは全国各地で起こっていて、今後も大量の団員が今回のケースにならってやめていってしまうだろう。それはすべて「やりがい」や「本来の意味」がなくなってしまったというところに起因する。
コメンテーターなどは、「それでも規律は重んじなければいけない」なんていっているが、作業着は耐火性がないので、作業着に着替えて現場で活動したら危ないし、耐火服はちゃんと現場にある。そうしていなければ、そうすればいいだけで、改善の余地なんていくらでもある。
ただ、今の社会、消防団だけでないけれど、こういった現場の改善点は残念ながら上には伝わらない。なぜなら上が「どうでもいい」と思っているから。問題提起すればめんどくさいし、消防団のケースで言えば、常備消防がすぐに現着できるから消防団が出る幕ではないともいうのだろう。
しかし、地方では、本当に険しい山岳地帯に常備消防はなく、消防団の存在が重要なところがある。だから地域によって、常備消防との兼ね合いで、きちんと活動の見直しはしていくべきだった。団員維持を無理やり行うために、意味もない集まりを作ってやらされていては、さすがにそんな暇はない。
朝からこんなあほなニュースを見せられたので、消防団員のお店にランチをしに行きました。この店の店主だって、時には仕事中でも現場に飛んでいくわけであって、いの一番に現場に到着したときに「なにもするな」なんて毎回言われたら、そりゃあやる気もなくなります。
服装だけじゃない、いろいろ積もってこうなったんだろうと推測しますが、こういった澪なしていない制度は沢山あって、それを無理やりみんなで支えている。やりたくないけど「わたしもやったんだから」とよくわからないけどやらされるものが沢山あるのが日本。
当事者たちが率先して活動内容を見直すだけでいいのにそれができない。アイデアがないのだ。
災害はこれから多くなる。仕事としてやっている人とボランティアの人との差、役割分担なんかは、今後しっかり考えていかないといけない。PTA外注とか馬鹿な結末を迎えた学校もあるけど、本末転倒。なんのためにいろんなボランティアがあるのかよく考えていくべきだと、うまいラーメンをすすりながら、また新しいアイデアがひらめきました。
ボランティア精神は、そもそもどこから来るのか。簡単な答えだった。
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薄氷の上にある「ボランティア精神」。消防団のこれから・・・。
Reviewed by DRT
on
7月 03, 2023
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